2007'07.28.Sat
中学生一護×院長竜弦 なんだかんだで最終回
++++++
あの日以来、一護は彼に会っていない。
来るなと云われたから行かなかった。語るなと背中が云うからなにも云えなかった。
好きだったから、――今でも好きだからだ。
遠くて近かったその人は、いつの間にか遠く届かない人になってしまったけれど。
あの人と一緒にいたときの、素直な自分を覚えている。
最初は、微笑みに惹かれた。次に、気さくな中にある冷たさが気になって仕方がなくなった。最後には、刺すような冷たい瞳にさえ目を奪われた。
ただ医者であり院長である彼だけではなく、ふいに覗く彼の本音は、彼をなによりも近しく感じられるものだった。
それはきっと、一護にだけ見せる姿だった。そうであると、一護は信じていた。
だからどんな形であれ、彼と一護の関係は続くものだと思っていた。
彼のあの言葉に砕かれるまでは、一護は自身のおかれた環境が変わろうとも、彼のところへ行くことはやめないだろうと考えていたのに。
どうしてこんなことになったのか、一護にはわからない。
一護のなにが彼の気に障ったのか、一護にわかるはずもなく、今はもう問い質すことすらできないけれど。
会いたいのに会えない人。会いに行ける距離にいるのに、会いに行くことは許されない人。
愛しさがまさればこそ、会って拒絶されるのが怖かったのかもしれない。
あなたのせいにしてあたなに会いたい気持ちを諦めていたのに。
運命があるというなら、それはなんて皮肉で、なんて残酷なものなのだろう。
思わせぶりでいて、その実なにかあれば簡単に一護を裏切ってくれる。
泣くことはなく、嘆くことはなく、恨むこともない。誰も知らないこの関係ゆえに、これは存在しつつも存在しえないものとなってしまった。
だから忘れたままでいようと思った。
――けれど現実は、一護が思うよりずっと慈悲深く残酷なものだった。
そうして一護は、もうひとつの運命に出逢う。
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あの日以来、一護は彼に会っていない。
来るなと云われたから行かなかった。語るなと背中が云うからなにも云えなかった。
好きだったから、――今でも好きだからだ。
遠くて近かったその人は、いつの間にか遠く届かない人になってしまったけれど。
あの人と一緒にいたときの、素直な自分を覚えている。
最初は、微笑みに惹かれた。次に、気さくな中にある冷たさが気になって仕方がなくなった。最後には、刺すような冷たい瞳にさえ目を奪われた。
ただ医者であり院長である彼だけではなく、ふいに覗く彼の本音は、彼をなによりも近しく感じられるものだった。
それはきっと、一護にだけ見せる姿だった。そうであると、一護は信じていた。
だからどんな形であれ、彼と一護の関係は続くものだと思っていた。
彼のあの言葉に砕かれるまでは、一護は自身のおかれた環境が変わろうとも、彼のところへ行くことはやめないだろうと考えていたのに。
どうしてこんなことになったのか、一護にはわからない。
一護のなにが彼の気に障ったのか、一護にわかるはずもなく、今はもう問い質すことすらできないけれど。
会いたいのに会えない人。会いに行ける距離にいるのに、会いに行くことは許されない人。
愛しさがまさればこそ、会って拒絶されるのが怖かったのかもしれない。
あなたのせいにしてあたなに会いたい気持ちを諦めていたのに。
運命があるというなら、それはなんて皮肉で、なんて残酷なものなのだろう。
思わせぶりでいて、その実なにかあれば簡単に一護を裏切ってくれる。
泣くことはなく、嘆くことはなく、恨むこともない。誰も知らないこの関係ゆえに、これは存在しつつも存在しえないものとなってしまった。
だから忘れたままでいようと思った。
――けれど現実は、一護が思うよりずっと慈悲深く残酷なものだった。
そうして一護は、もうひとつの運命に出逢う。
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