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約束のときを、きみと

2024'11.24.Sun
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2007'07.28.Sat
中学生一護×院長竜弦 なんだかんだで最終回

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 あの日以来、一護は彼に会っていない。
 来るなと云われたから行かなかった。語るなと背中が云うからなにも云えなかった。
 好きだったから、――今でも好きだからだ。
 遠くて近かったその人は、いつの間にか遠く届かない人になってしまったけれど。
 あの人と一緒にいたときの、素直な自分を覚えている。
 最初は、微笑みに惹かれた。次に、気さくな中にある冷たさが気になって仕方がなくなった。最後には、刺すような冷たい瞳にさえ目を奪われた。
 ただ医者であり院長である彼だけではなく、ふいに覗く彼の本音は、彼をなによりも近しく感じられるものだった。
 それはきっと、一護にだけ見せる姿だった。そうであると、一護は信じていた。
 だからどんな形であれ、彼と一護の関係は続くものだと思っていた。
 彼のあの言葉に砕かれるまでは、一護は自身のおかれた環境が変わろうとも、彼のところへ行くことはやめないだろうと考えていたのに。
 どうしてこんなことになったのか、一護にはわからない。
 一護のなにが彼の気に障ったのか、一護にわかるはずもなく、今はもう問い質すことすらできないけれど。
 会いたいのに会えない人。会いに行ける距離にいるのに、会いに行くことは許されない人。
 愛しさがまさればこそ、会って拒絶されるのが怖かったのかもしれない。
 あなたのせいにしてあたなに会いたい気持ちを諦めていたのに。
 運命があるというなら、それはなんて皮肉で、なんて残酷なものなのだろう。
 思わせぶりでいて、その実なにかあれば簡単に一護を裏切ってくれる。
 泣くことはなく、嘆くことはなく、恨むこともない。誰も知らないこの関係ゆえに、これは存在しつつも存在しえないものとなってしまった。
 だから忘れたままでいようと思った。
 ――けれど現実は、一護が思うよりずっと慈悲深く残酷なものだった。

 そうして一護は、もうひとつの運命に出逢う。

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