2007'04.23.Mon
中学生一護×院長竜弦 第8弾
竜弦さんの息子の話、再び。
1ヶ月以上間が空いてしまってすみません…。
---+---+---+---+---+---+---+---
だから、知りたくて
だから、嬉しいのに
竜弦さんの息子の話、再び。
1ヶ月以上間が空いてしまってすみません…。
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だから、知りたくて
だから、嬉しいのに
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「息子さんと折り合い悪いんだって?」
唐突な一護の問いに、しかし彼は慣れた風に小さな溜息を返してきた。
一護の唐突さより、これは内容の突飛さに呆れたのだろう。
鉄面皮に見えて、付き合ってみれば意外と表情のわずかな変化で感情が読み取れる、彼のそんなところは存外可愛いものなのだと、一護は最近知ったのだけれど。
「……君はどこからそんな情報を仕入れてくるんだ」
素っ気ない一瞥だが、それでも一護を見てくれることが、今は単純に、嬉しい。
「ナースステーションのウワサ話」
なんてのは嘘だ。本当のところは、顔見知りの看護婦に頼みこんで教えてもらったネタである。
「全く……」
この人はきっと知らないだろう。良くも悪くも、自分がどれだけ周囲の関心を集め、注目されているかということを。
だから一護だって、普段なら絶対にしないようなことまでしてこの人のことを知ろうとしているのに。
「息子ってどんな奴?」
「……以前にも似たような問いには答えたと思うが?」
覚えていたのか、と一護は内心瞠目した。
それは出逢ったばかりのころだ。ひとつでも多くこの人のことが知りたくて、思いつくがままに問いを発した。
……まさか覚えているなんて思わなくて。
あの頃は、この人とこんな関係になるとは思ってもみなかったから、ただがむしゃらだったことを一護はよく覚えている。
けれどその想いを伝えることはなく、一護は彼を見上げてからかうように唇の端を上げた。
「あんたに似てる?」
周りが云うには映したみたいにそっくりらしいけど、思えばこの人自身から息子の話は聞いたことがない。
「……勉強はできるが頭が固い。一度言い出すと融通がきかない。……一体誰に似たのだかな」
「あんたしかいないじゃん」
笑うと、あからさまに不愉快そうに眉を寄せる。全く想像と変わらないその様に、一護は笑わずにはいられなかった。
くつくつと笑い続けながら、それでもなんとか真面目な顔を作ってみせると、彼の眉間の皺はますます深まったようで。
「じゃあさ、俺があんたの息子になってやろうか?」
鋭い視線も、慣れてしまえばその温度の差もわかってくるものだ。
どんなに冷たい言葉を吐いても、彼は確かに医者なのだ。それを、一護は確かに感じていた。
「云うことをきかない息子は二人もいらない」
けれどその彼の声が淡々としながらもあまりに嫌そうで、本当に息子に手を焼いているのだと実感していると同時に、それだけ息子のことを気にかけているのかと考えると一護は嬉しくなった。
「そりゃそうだ」
この人の息子は、この人のこんな姿を知らないんだろう。
なんとなくそう思う。
きっと彼らは似たもの親子だ。
――あんたが息子のこと本当は心配してるように、あんたの息子だって本当はあんたのことが好きなんだ。
言葉にしてしまえば一蹴されるだろうことがわかるから、あえて一護は声には出さずに呟いた。
そうして、
「俺、やっぱりあんたが好きだよ。竜弦さん」
彼が言葉にせずとも、彼のことはわかっているのだと、わかることができるのだと、一護は思っていた。
そう思えることが、幸せなのだと思っていた。
「息子さんと折り合い悪いんだって?」
唐突な一護の問いに、しかし彼は慣れた風に小さな溜息を返してきた。
一護の唐突さより、これは内容の突飛さに呆れたのだろう。
鉄面皮に見えて、付き合ってみれば意外と表情のわずかな変化で感情が読み取れる、彼のそんなところは存外可愛いものなのだと、一護は最近知ったのだけれど。
「……君はどこからそんな情報を仕入れてくるんだ」
素っ気ない一瞥だが、それでも一護を見てくれることが、今は単純に、嬉しい。
「ナースステーションのウワサ話」
なんてのは嘘だ。本当のところは、顔見知りの看護婦に頼みこんで教えてもらったネタである。
「全く……」
この人はきっと知らないだろう。良くも悪くも、自分がどれだけ周囲の関心を集め、注目されているかということを。
だから一護だって、普段なら絶対にしないようなことまでしてこの人のことを知ろうとしているのに。
「息子ってどんな奴?」
「……以前にも似たような問いには答えたと思うが?」
覚えていたのか、と一護は内心瞠目した。
それは出逢ったばかりのころだ。ひとつでも多くこの人のことが知りたくて、思いつくがままに問いを発した。
……まさか覚えているなんて思わなくて。
あの頃は、この人とこんな関係になるとは思ってもみなかったから、ただがむしゃらだったことを一護はよく覚えている。
けれどその想いを伝えることはなく、一護は彼を見上げてからかうように唇の端を上げた。
「あんたに似てる?」
周りが云うには映したみたいにそっくりらしいけど、思えばこの人自身から息子の話は聞いたことがない。
「……勉強はできるが頭が固い。一度言い出すと融通がきかない。……一体誰に似たのだかな」
「あんたしかいないじゃん」
笑うと、あからさまに不愉快そうに眉を寄せる。全く想像と変わらないその様に、一護は笑わずにはいられなかった。
くつくつと笑い続けながら、それでもなんとか真面目な顔を作ってみせると、彼の眉間の皺はますます深まったようで。
「じゃあさ、俺があんたの息子になってやろうか?」
鋭い視線も、慣れてしまえばその温度の差もわかってくるものだ。
どんなに冷たい言葉を吐いても、彼は確かに医者なのだ。それを、一護は確かに感じていた。
「云うことをきかない息子は二人もいらない」
けれどその彼の声が淡々としながらもあまりに嫌そうで、本当に息子に手を焼いているのだと実感していると同時に、それだけ息子のことを気にかけているのかと考えると一護は嬉しくなった。
「そりゃそうだ」
この人の息子は、この人のこんな姿を知らないんだろう。
なんとなくそう思う。
きっと彼らは似たもの親子だ。
――あんたが息子のこと本当は心配してるように、あんたの息子だって本当はあんたのことが好きなんだ。
言葉にしてしまえば一蹴されるだろうことがわかるから、あえて一護は声には出さずに呟いた。
そうして、
「俺、やっぱりあんたが好きだよ。竜弦さん」
彼が言葉にせずとも、彼のことはわかっているのだと、わかることができるのだと、一護は思っていた。
そう思えることが、幸せなのだと思っていた。
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