2007'01.11.Thu
中学生一護×院長竜弦ネタ第2弾
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「こんなところで油売ってていいのかよ、院長センセ?」
「私は貴重な休憩時間に医師仲間の息子さんと談笑しているだけだよ、黒崎一護くん?」
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「こんなところで油売ってていいのかよ、院長センセ?」
「私は貴重な休憩時間に医師仲間の息子さんと談笑しているだけだよ、黒崎一護くん?」
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その日の診察を終えたのち、偶然に会った石田医師に連れられて一護がやってきたのは、なんとこの病院の院長室だった。
一護は驚いた。
表情には出さなかったが、実はとにかく驚いていた。
彼が一護の父を知っていたことはまあわからないこともないし、一護の父が総合病院の院長と知人だということはそれとなく知っていたから、そのあたりは納得もしたのだけれど。
問題は、目の前にいるこの人が院長だという事実らしい事実だ。
だってこんな若い院長なんて聞いたことがない。
もしかしたら一護の父親とさほど変わらない年齢なのかもしれないが、それにしても総合病院の院長としては若すぎるような気がする。
そして見た目も無駄に若いのだ。この、石田竜弦という医者は。
一護が彼に初めて診てもらったのは先日の小児科でのことだったが、そのときも一護は彼を、他科からの応援で来た若手医師だと思っていたほどなのだから。
「……あんたが院長だなんて、詐欺だろ」
「患者からの反応は半々だな。まあ、若くても有能で信頼できるとわかれば大抵は納得する」
「自分で有能とか云うかよ」
「残念ながら事実でね」
笑う。その様は初めて会ったときから変わらない。
板についた優しい微笑み。――そう、一護は他の患者や職員のようには彼の微笑みを信じていなかった。
なぜだろう、ただなんとなく、彼の本性はこんなものではないのだと知っていた。
薄いヴェールの向こう側で、さらに穏やかな仮面までつけて彼は分け隔てなく微笑む。
それが医者の姿だといってしまえばそうなのかもしれない。
医者に限らず、誰もがなにかしらの仮面をかぶっている、そんな世の中なのだから。
「なぁ、あんた結婚とかは?」
「まあ人並みにはね」
人並みってどんなだよ。
とりあえず院長の立場と大体の年齢を考えるに、結婚はしているということだろう。もしかしたら、幼稚園か小学校くらいの子どもくらいいるのかもしれない。
……彼が、一護の父のように子どもに向かってでれでれする姿など、全くもって想像もできないが。
「子どもは?」
「息子がひとり」
「かわいい?」
「さあ、客観的にみてどのくらい、とは判別がつきがたいな」
まあ確かに、赤ん坊ならともかくとしても、男親が息子を可愛いと評することはそう多くないだろう。
さらにこの人に至っては、本心で思っていることであっても素直には表さないだろうし。
「あんたの息子かー、想像もつかないな。でも、あんたにそっくりっぽい気がする」
「そう云われるほど似てはいないよ」
ああ、そっくりなんだな。彼の返答に、一護はそう考える。
彼だけを見てしまうと、子どもがいると想像がつきがたいが、しかし子どもがいる前提で考えれば思う以上に想像はたやすい。
彼の息子も、きっと彼と同じ目をしているのだろう。真っ直ぐでなにものをも寄せ付けない、しかしどうしてか惹かれてしまうような――。
「会ってみたいな、あんたの息子に」
「そう面白いものではないよ」
面白いに決まってんだろ。あんたの息子なんだから。
そう考える一護の気持ちでも読んだのだろうか、彼は一護を一瞥し、呆れたように小さく溜息をついた。
その日の診察を終えたのち、偶然に会った石田医師に連れられて一護がやってきたのは、なんとこの病院の院長室だった。
一護は驚いた。
表情には出さなかったが、実はとにかく驚いていた。
彼が一護の父を知っていたことはまあわからないこともないし、一護の父が総合病院の院長と知人だということはそれとなく知っていたから、そのあたりは納得もしたのだけれど。
問題は、目の前にいるこの人が院長だという事実らしい事実だ。
だってこんな若い院長なんて聞いたことがない。
もしかしたら一護の父親とさほど変わらない年齢なのかもしれないが、それにしても総合病院の院長としては若すぎるような気がする。
そして見た目も無駄に若いのだ。この、石田竜弦という医者は。
一護が彼に初めて診てもらったのは先日の小児科でのことだったが、そのときも一護は彼を、他科からの応援で来た若手医師だと思っていたほどなのだから。
「……あんたが院長だなんて、詐欺だろ」
「患者からの反応は半々だな。まあ、若くても有能で信頼できるとわかれば大抵は納得する」
「自分で有能とか云うかよ」
「残念ながら事実でね」
笑う。その様は初めて会ったときから変わらない。
板についた優しい微笑み。――そう、一護は他の患者や職員のようには彼の微笑みを信じていなかった。
なぜだろう、ただなんとなく、彼の本性はこんなものではないのだと知っていた。
薄いヴェールの向こう側で、さらに穏やかな仮面までつけて彼は分け隔てなく微笑む。
それが医者の姿だといってしまえばそうなのかもしれない。
医者に限らず、誰もがなにかしらの仮面をかぶっている、そんな世の中なのだから。
「なぁ、あんた結婚とかは?」
「まあ人並みにはね」
人並みってどんなだよ。
とりあえず院長の立場と大体の年齢を考えるに、結婚はしているということだろう。もしかしたら、幼稚園か小学校くらいの子どもくらいいるのかもしれない。
……彼が、一護の父のように子どもに向かってでれでれする姿など、全くもって想像もできないが。
「子どもは?」
「息子がひとり」
「かわいい?」
「さあ、客観的にみてどのくらい、とは判別がつきがたいな」
まあ確かに、赤ん坊ならともかくとしても、男親が息子を可愛いと評することはそう多くないだろう。
さらにこの人に至っては、本心で思っていることであっても素直には表さないだろうし。
「あんたの息子かー、想像もつかないな。でも、あんたにそっくりっぽい気がする」
「そう云われるほど似てはいないよ」
ああ、そっくりなんだな。彼の返答に、一護はそう考える。
彼だけを見てしまうと、子どもがいると想像がつきがたいが、しかし子どもがいる前提で考えれば思う以上に想像はたやすい。
彼の息子も、きっと彼と同じ目をしているのだろう。真っ直ぐでなにものをも寄せ付けない、しかしどうしてか惹かれてしまうような――。
「会ってみたいな、あんたの息子に」
「そう面白いものではないよ」
面白いに決まってんだろ。あんたの息子なんだから。
そう考える一護の気持ちでも読んだのだろうか、彼は一護を一瞥し、呆れたように小さく溜息をついた。
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