2007'01.23.Tue
中学生一護×院長竜弦 第4弾
まだまだ続きます。一護くんナンパ編(笑)
ていうか一護が竜弦さん好きすぎて困る。た、楽しい…!
---+---+---+---+---+---+---+---
街であの人を見た。
見つけてしまったら、声をかけずにはいられない。
まだまだ続きます。一護くんナンパ編(笑)
ていうか一護が竜弦さん好きすぎて困る。た、楽しい…!
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街であの人を見た。
見つけてしまったら、声をかけずにはいられない。
+
「竜弦さん!」
雑踏の中での呼びかけが届くかどうかもわからなかったが、とりあえずこの人が振り返ってくれただけオッケーなのだろうと一護は思う。
もっとも、この人のことだからわかっていて足を止めたとも考えられるのだけど。
振り返ったその人は、いかにも不本意そうな表情で足を止めていた。
気まぐれな彼が背を向けてしまわないうちにと、一護は人並みをかき分けるように進む。
「久し振りじゃん、こんなところでなにしてんの」
「休暇だ」
憮然とした、不機嫌にも見えるその表情に、なるほどねと一護は笑う。
「竜弦さん働きすぎなんだって」
笑う一護に、ますます機嫌が下降していくのがわかった。
町内最大の総合病院を支えるこの若き院長は、有能だが冷たそうな外見に反してとても熱心だとは密かながらに有名な話だ。
職員には過度の働きすぎを禁じるくせに、当の自分がまさに働きすぎなのだと、いつからか顔馴染みとなった婦長の嘆きを一護は知っている。
おそらく今回の休暇も、そうした声にあらがいきれずにとらされたものなのだろう。
手持ち無沙汰に街を歩く彼は浮かれる街にはどうにも不似合いで、きびきび動く病院での姿を知っている一護としてはおかしくて仕方ない。
「竜弦さん、いま暇?」
「予定があるように見えるかい?」
いや、全然。
予定があるなら、この人がこんなところでなにをするでもなく街を眺めているはずがなくて。
立ち止まり続ける人ではないのだと一護は知っている。
だから、
「なら、俺に付き合ってよ」
「結構だ」
予想通りの即答。けれど予想通りだからこそ、ここで諦めるつもりはない。
「いいじゃん、ちょっとお茶するだけ。俺おごるよ」
――妹たち待ってて時間余ってるんだ。
CDショップにも本屋にも寄ってきたあとだから、もうウィンドウショッピングをする気分にもなれなくて。
「暇な人間同士、時間を有効に使うのも手だって」
あんたもどうせ暇なんだろ、と笑うと、彼は不思議なものを見るような目で一護を見た。
空座町駅ではなく、このあたりで一番大きな駅の前でこうして会ったのも、きっとなにかの運命だ。
病院とは違う場所でせっかく会えたこの人をここで逃すことなど、どうしたってできるわけがなくて。
一護の必死の食らいつきに、彼は呆れたように溜息をついた。
眼鏡のブリッジを、右手の中指で押し上げる。
「……中学生に奢らせるほど私は飢えていないよ、黒崎一護くん」
そうして一護が彼に連れてこられたのは、大通りの一角にある小洒落た喫茶店だった。
そこは軽くファーストフード店やチェーン店のレストランで、なんて一護の考えを遙かに越えていた。
いや、喫茶店としてはこれくらいが普通なのかもしれないが、こうした店には縁のない一護からすれば充分にそこは「すごい」ところだった。
「竜弦さん、あんたいつもこんなとこ入ってるの?」
「……いつもと云えるほどではないな。休日で、気が向いたとき稀に来る程度だ」
「そっか」
彼がコーヒーを頼むのを真似るように、一護も同じものを注文した。
紅茶があるのに普段飲まないコーヒーをわざわざ選んだのは、半分は意地だった。もう半分は――そうしたら彼にもう一歩近づけるのではないかと思ったまでで。
だからどうということもないのだけれど。
「ここはうちの職員にも好評な店でね」
そう云う彼の前にはレアチーズケーキが、一護の前にはガトーショコラが鎮座していた。ケーキを好んで頼むタイプとは思えなかったが、躊躇いなくケーキセットを注文するあ
たり、甘いものは苦手ではないのだろう。
一護も彼につられる形でセットを頼んだけれど、もしかしたら最初からこれを狙っていたのかもしれない。
好きなものを頼みなさいと云った物わかりのいい大人の微笑みに、一護はなんだか騙された気分になる。
……まあ、この人が嬉しそうならそれが一番なのだけれど。
「あ、うまい」
口の中で溶けるガトーショコラに一護が思わず呟くと、彼がわずかに口元を緩めるのがわかった。
職員に好評だというのはどうやら本当だったらしい。コーヒーだって口当たりよく飲みやすいし、こんな店なら確かにたまに訪れたいと思うかもしれない。
「……そっちも美味しそうだな」
一護のガトーショコラが既に半分ほど減ったのに対し、彼のレアチーズケーキはまだ三分の一ほどしか欠けていない。
じっくり味わって食べているのだろうか、しかしそう見ればそちらも美味しそうに思えて仕方がなくて。
「食べるかい?」
一口分をフォークに掬った彼は、苦笑して一護を見やる。よほど物欲しそうな顔をしていたのだろうかと思ったが、くれると云うものを拒否するつもりは一護にはなかった。
頷くと、彼は苦笑のまま皿をこちらに押しやろうとする。
しかし皿はテーブルの中央に来る前に、テーブルについた一護の右手に止められた。
そのまま身を乗り出した一護は、左手で彼の右手を掴み引き寄せ、
「こっちでいい」
そうして口にしたレアチーズケーキは濃厚ながらに甘すぎず。
なんだかこの人みたいだ、と思いながら、一護は彼の手を離して椅子に座り直した。
正面には、わずかに目を見開いた彼の顔。
こんな顔をするのは珍しいのだろうと心なしか嬉しくなった一護は、自身のガトーショコラを一口分フォークに差して彼の前に突き出した。
「はい、竜弦さんも」
彼は数瞬思案していたようだけれど、一護がそれをやめる気がないことを悟ったのかゆっくりと口を開く。
その口にそっとフォークを差し込み、しっかりと口を閉じたのを確認してから引き出した。
軽く一護を睨みつけながらむぐむぐと咀嚼する姿は、総合病院の院長どころか一子の父には見えないほど可愛らしくて。
大の大人に可愛いもなにもないだろうとは思うが、そう感じてしまったのだからもうどうしようもない。
「……私の顔になにか?」
不可思議そうに首を傾げる、そんな様子に一護は必死で笑いを噛み殺す。
「竜弦さんって、なんか可愛い」
つい零れた言葉に彼は眉を寄せるも、そんな姿さえ可愛く見えてしまうのだから、もう自分は重症だ。
一護はもう一度彼に微笑んで、半分残ったブラックのコーヒーを一気に飲み干した。
ナンパ・デート・「あーん」で関節キス、と…
どんどん関係が進んでいきますな、一護竜弦は(笑)
そのくせどちらも無自覚のラブってなんだこいつら愛しいなぁ!
ていうか未だに中学生一護の口調がつかめません…
いや竜弦さんも大概わからないけどさ
「竜弦さん!」
雑踏の中での呼びかけが届くかどうかもわからなかったが、とりあえずこの人が振り返ってくれただけオッケーなのだろうと一護は思う。
もっとも、この人のことだからわかっていて足を止めたとも考えられるのだけど。
振り返ったその人は、いかにも不本意そうな表情で足を止めていた。
気まぐれな彼が背を向けてしまわないうちにと、一護は人並みをかき分けるように進む。
「久し振りじゃん、こんなところでなにしてんの」
「休暇だ」
憮然とした、不機嫌にも見えるその表情に、なるほどねと一護は笑う。
「竜弦さん働きすぎなんだって」
笑う一護に、ますます機嫌が下降していくのがわかった。
町内最大の総合病院を支えるこの若き院長は、有能だが冷たそうな外見に反してとても熱心だとは密かながらに有名な話だ。
職員には過度の働きすぎを禁じるくせに、当の自分がまさに働きすぎなのだと、いつからか顔馴染みとなった婦長の嘆きを一護は知っている。
おそらく今回の休暇も、そうした声にあらがいきれずにとらされたものなのだろう。
手持ち無沙汰に街を歩く彼は浮かれる街にはどうにも不似合いで、きびきび動く病院での姿を知っている一護としてはおかしくて仕方ない。
「竜弦さん、いま暇?」
「予定があるように見えるかい?」
いや、全然。
予定があるなら、この人がこんなところでなにをするでもなく街を眺めているはずがなくて。
立ち止まり続ける人ではないのだと一護は知っている。
だから、
「なら、俺に付き合ってよ」
「結構だ」
予想通りの即答。けれど予想通りだからこそ、ここで諦めるつもりはない。
「いいじゃん、ちょっとお茶するだけ。俺おごるよ」
――妹たち待ってて時間余ってるんだ。
CDショップにも本屋にも寄ってきたあとだから、もうウィンドウショッピングをする気分にもなれなくて。
「暇な人間同士、時間を有効に使うのも手だって」
あんたもどうせ暇なんだろ、と笑うと、彼は不思議なものを見るような目で一護を見た。
空座町駅ではなく、このあたりで一番大きな駅の前でこうして会ったのも、きっとなにかの運命だ。
病院とは違う場所でせっかく会えたこの人をここで逃すことなど、どうしたってできるわけがなくて。
一護の必死の食らいつきに、彼は呆れたように溜息をついた。
眼鏡のブリッジを、右手の中指で押し上げる。
「……中学生に奢らせるほど私は飢えていないよ、黒崎一護くん」
そうして一護が彼に連れてこられたのは、大通りの一角にある小洒落た喫茶店だった。
そこは軽くファーストフード店やチェーン店のレストランで、なんて一護の考えを遙かに越えていた。
いや、喫茶店としてはこれくらいが普通なのかもしれないが、こうした店には縁のない一護からすれば充分にそこは「すごい」ところだった。
「竜弦さん、あんたいつもこんなとこ入ってるの?」
「……いつもと云えるほどではないな。休日で、気が向いたとき稀に来る程度だ」
「そっか」
彼がコーヒーを頼むのを真似るように、一護も同じものを注文した。
紅茶があるのに普段飲まないコーヒーをわざわざ選んだのは、半分は意地だった。もう半分は――そうしたら彼にもう一歩近づけるのではないかと思ったまでで。
だからどうということもないのだけれど。
「ここはうちの職員にも好評な店でね」
そう云う彼の前にはレアチーズケーキが、一護の前にはガトーショコラが鎮座していた。ケーキを好んで頼むタイプとは思えなかったが、躊躇いなくケーキセットを注文するあ
たり、甘いものは苦手ではないのだろう。
一護も彼につられる形でセットを頼んだけれど、もしかしたら最初からこれを狙っていたのかもしれない。
好きなものを頼みなさいと云った物わかりのいい大人の微笑みに、一護はなんだか騙された気分になる。
……まあ、この人が嬉しそうならそれが一番なのだけれど。
「あ、うまい」
口の中で溶けるガトーショコラに一護が思わず呟くと、彼がわずかに口元を緩めるのがわかった。
職員に好評だというのはどうやら本当だったらしい。コーヒーだって口当たりよく飲みやすいし、こんな店なら確かにたまに訪れたいと思うかもしれない。
「……そっちも美味しそうだな」
一護のガトーショコラが既に半分ほど減ったのに対し、彼のレアチーズケーキはまだ三分の一ほどしか欠けていない。
じっくり味わって食べているのだろうか、しかしそう見ればそちらも美味しそうに思えて仕方がなくて。
「食べるかい?」
一口分をフォークに掬った彼は、苦笑して一護を見やる。よほど物欲しそうな顔をしていたのだろうかと思ったが、くれると云うものを拒否するつもりは一護にはなかった。
頷くと、彼は苦笑のまま皿をこちらに押しやろうとする。
しかし皿はテーブルの中央に来る前に、テーブルについた一護の右手に止められた。
そのまま身を乗り出した一護は、左手で彼の右手を掴み引き寄せ、
「こっちでいい」
そうして口にしたレアチーズケーキは濃厚ながらに甘すぎず。
なんだかこの人みたいだ、と思いながら、一護は彼の手を離して椅子に座り直した。
正面には、わずかに目を見開いた彼の顔。
こんな顔をするのは珍しいのだろうと心なしか嬉しくなった一護は、自身のガトーショコラを一口分フォークに差して彼の前に突き出した。
「はい、竜弦さんも」
彼は数瞬思案していたようだけれど、一護がそれをやめる気がないことを悟ったのかゆっくりと口を開く。
その口にそっとフォークを差し込み、しっかりと口を閉じたのを確認してから引き出した。
軽く一護を睨みつけながらむぐむぐと咀嚼する姿は、総合病院の院長どころか一子の父には見えないほど可愛らしくて。
大の大人に可愛いもなにもないだろうとは思うが、そう感じてしまったのだからもうどうしようもない。
「……私の顔になにか?」
不可思議そうに首を傾げる、そんな様子に一護は必死で笑いを噛み殺す。
「竜弦さんって、なんか可愛い」
つい零れた言葉に彼は眉を寄せるも、そんな姿さえ可愛く見えてしまうのだから、もう自分は重症だ。
一護はもう一度彼に微笑んで、半分残ったブラックのコーヒーを一気に飲み干した。
ナンパ・デート・「あーん」で関節キス、と…
どんどん関係が進んでいきますな、一護竜弦は(笑)
そのくせどちらも無自覚のラブってなんだこいつら愛しいなぁ!
ていうか未だに中学生一護の口調がつかめません…
いや竜弦さんも大概わからないけどさ
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